施工管理の採用はなぜこんなにも難しいのか―ヘッドハンターが解説

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金田 侑万
執行役員/エグゼクティブコンサルタント
金田 侑万
文教大学卒業後、国内最大級のヘッドハンティング会社に新卒入社。大手不動産デベロッパーや建設会社等のクライアントを担当するヘッドハンターとして、技術職・専門職のヘッドハンティング業務に従事。 複数の社内表彰を受賞するなど、建設・不動産業界の採用支援において、豊富な実績を有する。 その後、弊社代表の高木と共に株式会社レガシーを創業。建築・内装施工における施工管理や不動産デベロッパーにおける用地仕入れ営業職など、採用難易度が非常に高いポジションのヘッドハンティングを得意としている。 埼玉県出身。

目次

現在、建設業界では施工管理の採用が難しい状況が深刻化しています。現場を取り仕切る施工管理(現場監督)の人材不足は顕著で、多くの建設会社が採用に頭を悩ませています。なぜ施工管理の採用はこんなにも難しいのでしょうか。本記事では、建設業界に精通したヘッドハンティングのプロの視点から、その背景と今後の展望、そして「勝ち組」企業になるための具体策について解説します。

施工管理の採用が難しい背景

まず、建設業界全体の人手不足が大前提としてあります。少子高齢化の影響で労働人口が減少する中、建設業では特に施工管理の採用が難しいと言われます。その理由の一つは、経験豊富なミドル層の施工管理技術者が圧倒的に不足していることです。実際、30~40代の施工管理技士や現場監督といった中堅世代の有資格者は母数自体が少なく、多くの企業がこの層を採用したくても候補者が見つからない状況にあります。一方でベテラン世代の高齢化も進んでおり、現役で活躍する65歳以上の技術者が全体の2割近くを占めるまでになっています。

過去には建設投資が落ち込んだ時期(2008~2012年頃)に業界不況で新規参入者が激減したことが、現在の人材不足につながっているとも指摘できます。事実、2001年には約432万人いた建設技能労働者が2020年には約321万人まで減少しました。この間、建設投資額は2001年と2020年でほぼ同水準(約60兆円)で推移しており、工事量は変わらないにもかかわらず現場を担う人材が100万人以上減った計算です。

資料出所:総務省「労働力調査」、国土交通省「建設投資見通し」

2001年から2020年にかけて建設技能労働者数は約432万人から約321万人へと大幅に減少しました(折れ線グラフ)。一方、建設投資額(棒グラフ)は同期間でほぼ横ばい(約60兆円)です。この需要と供給のギャップが、人手不足の深刻さを如実に示しています。

こうした構造的な要因から、中堅となる人材の絶対数が不足しており、施工管理職の採用が難しい根本原因となっているのです。

さらに、若手人材の「建設業離れ」も深刻です。例えば2022年には、建設業全体で新規入職者数(約22万人)より離職者数(約28.7万人)の方が上回り、2012年以来初めて入職よりも離職が多い年となりました。せっかく若手を採用しても早期に辞めてしまうケースが増えており、業界全体で若年層の定着率が低下しています。長時間労働や厳しい現場環境といった要因から建設業を敬遠する若者も多く、将来の施工管理人材の母集団が細っているのが現状です。

加えて、施工管理の仕事は担当するプロジェクトの工期が長期化しやすく、在職中の技術者が転職を検討するタイミングを取りづらいという事情もあります。大型案件を抱える施工管理技術者ほどプロジェクト完了まで責任を全うしようとするため、一般的な業界に比べて中途市場に出てくる人材が限られてしまうのです。

こうした要因が重なり、施工管理職は完全な売り手市場となっています。土木・建築系技術者や施工管理職の有効求人倍率は5~8倍超という高水準で、求人を出しても応募がゼロという企業も珍しくありません。求人を出しても応募ゼロというケースすらあり、従来のやり方では必要な人材を確保することが極めて困難です。その結果、人材が確保できず工事の進行に支障をきたしたり、受注を増やしたくても施工管理人材の採用難のため案件を断念せざるを得なかったりする企業も出ています。

今後、建設業界は「勝ち組」と「負け組」の二極化が進む

このような熾烈な人材獲得競争の中で、建設業界では今後「人材採用での勝ち組」と「負け組」の二極化が一層進むと予測されます。採用力の差がそのまま企業の将来を左右すると言っても過言ではありません。施工管理の採用が難しい現状でも、優秀な人材を引きつけ確保できる企業が「勝ち組」となり、人材を確保できない企業はますます人手不足が深刻化して「負け組」へと陥ってしまうでしょう。

現に、現場監督(施工管理技術者)が確保できないために工事案件の受注を抑制せざるを得ないケースも生じています。受注したくても現場を任せる人材がいないため、泣く泣く仕事を断る――これは企業の売上機会の損失であり、長期的には事業規模の縮小につながりかねません。一方で、優秀な施工管理人材を採用して戦力化できている企業は、受注を着実にこなし業績を伸ばすことができます。まさに「人材確保こそ最大の経営課題」であり、採用面での対応が企業の命運を握っているのです。

業界全体を見ても、今後もベテラン世代の大量退職と若年層の減少が避けられず、人材不足は長期化する見通しです。国土交通省の推計では、2030年頃には建設技術者が現在より数万人規模で不足すると予想されています。施工管理職の採用難は今後もしばらく続くどころか、さらに深刻化する可能性があります。そんな中で生き残る「勝ち組」企業となるには、従来通りの採用手法や受け身の姿勢では不十分です。自社の採用力を戦略的に強化し、魅力ある職場づくりに本気で取り組む会社だけが将来の担い手を確保できるでしょう。

勝ち組になるための取り組み

では、施工管理人材の獲得競争を勝ち抜き「勝ち組」になるために、企業は具体的にどのような取り組みをすべきでしょうか。ここでは鍵となる3つのポイントを解説します。

働き方改革とDXの推進で魅力ある職場づくり

まず重要なのは、働き方改革と現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、施工管理技術者にとって魅力的な職場環境を整えることです。長時間労働や過酷な現場環境といった建設業の従来の働き方を見直し、施工管理職の採用が難しい原因の一つである労働環境のハードさを改善していく必要があります。具体的には、現場の週休2日制徹底や残業削減を推進し、休日・有休をしっかり取得できる体制を作ることが求められます。

加えて、IT技術やデジタルツールの活用で現場業務の効率化を図ることも効果的です。例えば、タブレットやクラウド型の進捗管理システムを導入して報告・調整業務を効率化したり、ドローンや3次元測量技術を用いて点検作業の省人化・安全性向上を図ったりする企業も出てきています。これらDXの取り組みは、生産性を高めるだけでなく、現場監督の負担軽減にもつながります。働き方改革とデジタル化によって働きやすい環境が実現すれば、社内の施工管理技術者の定着率向上はもちろん、外部からの人材にも「この会社なら無理なく働けそうだ」という良い印象を与えることができます。結果として、採用競争力の強化につながるでしょう。

人への投資を惜しまない(充実した福利厚生・キャリア支援)

次に、人材に対する積極的な投資が重要です。施工管理人材の採用が難しい時代だからこそ、せっかく獲得した人材には長く活躍してもらえるよう、働きがいを感じられる制度を整備しましょう。具体的には、充実した福利厚生とキャリア支援の両面からアプローチします。

福利厚生面では、給与水準の見直しや各種手当の充実、家族支援制度の導入など、社員が安心して働ける待遇を用意します。現場の負担軽減のための特別休暇(リフレッシュ休暇や連続休暇の取得推奨)や健康管理サポートなども有効です。また、資格取得支援や研修制度の充実など、社員のスキルアップを後押しする施策に力を入れる企業も増えています。

キャリア支援の面では、施工管理職としての明確なキャリアパスを提示し、将来的な昇進機会や本社部門への登用など多様な成長の場を用意することがポイントです。定期的な面談を通じてキャリアの希望を聞き、適材適所の配置転換やプロジェクトリーダーへの抜擢を行うなど、社員一人ひとりの成長を会社が後押ししていきます。このように人への投資を惜しまない会社は「社員を大切にする会社」として業界内でも評判が高まり、求職者から選ばれやすくなります。結果的に定着率も向上し、社内外から優秀な人材が集まる好循環を生み出せるでしょう。

ヘッドハンティングの活用で即戦力人材を確保

そして最後に、どうしても不足しがちな即戦力の施工管理人材を獲得する手段として、専門のヘッドハンティングサービスを活用することも検討すべきです。特に、経験豊富な施工管理技術者や有資格者は既に他社で重要な戦力となっており、自ら求人サイトに登録して転職活動をしないケースも多々あります。このような採用が難しい施工管理人材にアプローチするには、待っているだけでは不十分で、企業側から能動的に働きかけることが不可欠です。

ヘッドハンティング会社は、転職市場に出てこない優秀な「潜在層」の人材と企業とを結び付けるプロフェッショナルです。建設業界に特化したヘッドハンターであれば、業界の動向や技術者ネットワークに精通しており、企業のニーズにマッチする人材をピンポイントで探し出すことができます。弊社レガシーも施工管理職に特化したヘッドハンティング会社として、多くの建設会社と施工管理技術者をマッチングしてきた実績があります。求人広告ではなかなか出会えないような優秀な人材をスカウトによって発掘し、条件交渉から入社後のフォローまで丁寧にサポートすることで、通常では採用が難しいポジションの充足に貢献しています。

ヘッドハンティングを上手く活用すれば、短期間で即戦力となる人材を確保できる可能性が高まります。費用はかかるものの、慢性的な人手不足で機会損失が発生している状況を考えれば、必要な投資と言えるでしょう。自社だけではアプローチできない優秀層にリーチできるため、採用手法の選択肢として今後ますます重要性が増すと考えられます。

まとめ―人材獲得競争を勝ち抜くために

施工管理職の採用難は、一朝一夕で解決できる問題ではありません。しかしだからこそ、各社の本気度が試される分野とも言えます。採用難の時代において「勝ち組」となる企業は、早い段階から人材確保の重要性に向き合い、戦略的な採用施策に投資しています。働き方改革で職場環境を改善し、人材育成や福利厚生に力を入れ、さらにはヘッドハンティングなど社外のプロの力も積極的に取り入れる——そうした総合的な取り組みを行う企業こそが、人材獲得競争を勝ち抜いていくのです。

「若い人や未経験人材を採用しても、すぐに辞めてしまう」
「自社の人材育成にかけるコストや時間がない」
「仕事はいくらでもあるが、対応できる現場監督が足りない」

こんな悩みを抱えている建設事業者は、ヘッドハンティングの活用を検討する価値があります。今後、建設業界で生き残っていくには、「いかに優秀な人材を確保するのか」が命題になってくることが間違いありません。既存サービスでの採用が、上手く機能していない会社ほど、ヘッドハンティングが人材不足解消への有効な一手となるでしょう。

LEGACY(レガシー)は、建設業界特化のヘッドハンティングサービスを展開しています。

  • 建設業界に精通したコンサルタント陣
  • 建設業界における様々な人材との独自ネットワーク
  • 建設業界特有の事情や時流を踏まえた採用戦略の支援

など、建設業界特化のヘッドハンティングだからこそ、ご提供できるサービスがあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
※プロジェクト設計及びお見積りは無料です。

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