【不動産業界のヘッドハンティング】エース営業マンの採用手法を解説

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金田 侑万
コンサルタント
金田 侑万
文教大学卒業後、国内最大級のヘッドハンティング会社に新卒入社。大手不動産デベロッパーや建設会社等のクライアントを担当するヘッドハンターとして、技術職・専門職のヘッドハンティング業務に従事。 複数の社内表彰を受賞するなど、建設・不動産業界の採用支援において、豊富な実績を有する。 その後、弊社代表の高木と共に株式会社レガシーを創業。建築・内装施工における施工管理や不動産デベロッパーにおける用地仕入れ営業職など、採用難易度が非常に高いポジションのヘッドハンティングを得意としている。 埼玉県出身。

不動産業界では、専門性の高いスキルを持つ人材の採用に苦労している企業が年々増加しています。特に、営業スキルの高い人材や独自のネットワークを持つ人材は、引く手数多であり、通常の採用手法では、そもそも接点さえ持てない企業がほとんどです。それでは、そういった「エース営業マン」と呼ばれるような、ハイレイヤーな人材はどのように採用したらよいのでしょうか。不動産業界の採用に精通したコンサルタントが、エース営業マンの採用手法を、事例を交えて解説します。

不動産業界の職種別の採用事情

企画開発

企画開発とは、土地の選定から収益やリスクの計算、加えて「どのような建物を建てるのか」「どのように運用するのか」等の企画を策定するなど、一連のプロジェクトを立案し、推進していく仕事です。対象となるアセットは様々であり、近年はホテルや物流施設等の需要が盛んであることから、これらのアセットタイプの企画開発を担ってきた人材の需要が高くなっている傾向にあります。

販売営業職

マンション・戸建、ビル等の建物や土地等の販売が主となる職種です。販売先が、一般顧客なのか、法人なのかによって、営業スタイルや問われるスキルも異なってきます。近年では、戸建の販売戸数が減少していることもあり、一般顧客向けの販売営業マンの人材需要は下落している傾向にあります。一方で、自身で富裕層の顧客など、固定客を有している販売営業マンの市場価値は依然として高いでしょう。

仕入営業職

戸建やマンション、商業施設からオフィス等の開発に伴い、その用地を仕入れることが主となる職種です。不動産営業の中でも、特に経験や人脈が問われる職種であり、最もヘッドハンティングの対象となることが多い傾向にあります。特に、用地仕入れにおいては、不動産会社とのネットワークも重要になることから、そういったネットワークを有している熟練の仕入営業マンを採用するべく、ヘッドハンティングを活用している企業もあります。

不動産事務職

主に、営業職のアシスタント業務やサポートを行います。電話・メールの対応はもちろんのこと窓口での初期対応から書類作成まで、会社によって異なりますが幅広い業務を行う仕事です。特に、宅建保有者は、優遇される傾向にあり、一定の人材需要があります。

エース営業マンを採用するための手法

エース営業マンとなるような優秀な人材を採用するためには、どのような手法があるでしょうか。代表的な手法を解説します。

リファラル

リファラル採用とは、自社従業員から信頼のおける友人や知人の紹介を受けて、採用を行う手法です。リファラル採用では、採用コストを抑えることができる上、履歴書・職務経歴書からだけでは読み取れない、その方の評判や志向を、紹介者を通じて把握ができるというメリットがあります。不動産業界では、業界内で転職するケースが多く、横のつながりを有している営業マンが多いです。自社の優秀な営業マンは、同業他社に在籍している優秀な人材を知っていることも多く、自社の社員の推薦は、非常に信頼性の高い情報といえるでしょう。その反面、紹介者属性に依存することになり、人材の多様性の妨げになるリスクもあります。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業が必要とする人材を、転職ポータルサイトを通じて主体的に採用していく手法です。これまでは媒体等に求人を掲載し、「待ち」の採用でしたが、ダイレクトリクルーティングでは、企業自身が転職ポータルサイトにてスカウトを送る等の「攻め」の採用が主流になっています。しかし近年、ダイレクトリクルーティングが流行し、求職者は、非常にの多くのスカウトを受け、「スカウトの優劣がつかない」「魅力的な内容が多いが、信頼できるものか分からない」「みんなにスカウトをばらまいているのではないか」等の声も挙がっており、ポータルサイトとしての質が問われています。実際、本当に優秀な人材は、転職ポータルサイトに登録する前に、リファラルやヘッドハンティングで決定することも多く、ポータルサイト内に自社が本当に求めている人材がいるのか、その点は運任せになることは否めません。

ヘッドハンティング

ヘッドハンティングとは、ダイレクトリクルーティング同様、「攻め」の採用手法です。しかし、ダイレクトリクルーティングよりも、ターゲットの範囲は広く、転職活動者のみならず労働人口すべてをターゲットに「攻め」の採用を行います。まさに、企業にとって必要な人材をピンポイントで採用していく手法となります。ヘッドハンティングは従来、経営者などエグゼクティブ層を対象として行なわれていた採用手法ですが、近年では、技術職や専門職といった層まで広がってきています。特に、不動産業界では、欲しい人材がニッチな領域になるケースもあり、「マンション販売のスペシャリスト」「ホテル開発の企画推進経験者」「戸建用の土地仕入れのエキスパート」など、アセットタイプによって細分化されます。そういった、細分化されたポジションの中でピンポイントで求めている人材を採用するには、ヘッドハンティングが非常に有効です。

不動産業界においてヘッドハンティングを活用するメリット

転職市場に存在しない人材へのアプローチが可能

繰り返しになりますが、ヘッドハンティングは、転職市場に存在しない人材へのアプローチが可能です。不動産業界において、一般的な転職サービスに登録する求職者は、労働人口の約5~10%とされています。しかし、その中から企業が理想とする人材を確保するのは非常に困難です。ヘッドハンティングは、転職市場にいない約9割の層もターゲットとし、全労働人口から優秀な人材を見つけ出し、企業への移籍を後押しします。

入社後のミスマッチを防げる

転職市場に存在する人材の経験値やスキルは玉石混交であり、本当に優秀な人材もいれば、そうではない人材もいるのが実態です。そういった、様々な人材プールの中で、履歴書・職務経歴書と数回の面接で、実力を正確に見抜くのは非常に困難です。加えて、明確な転職意向のある方は、良くも悪くも自身をアピールするスタンスで転職活動に臨みます。中には、過去の経験を誇張するケースもあり、入社後のミスマッチを生んでしまうことも、一定数あるといわれています。一方で、ヘッドハンティングでは、ターゲットとなる人材のほとんどが、明確な転職意向を持っているわけではないため、フラットなスタンスで臨みます。つまり、自身の経験やスキルを誇張する必要がありません。それに加えて、ヘッドハンティングでは、比較的長期に渡ってコミュニケーションをとり、徐々に双方の理解を深めながら進めていくため、入社後のミスマッチが少ない傾向にあります。

招きたい人材を指名してオファーすることもできる

過去に名刺交換した方、一緒に仕事をした方など、不動産業界では、同業者・近隣業者とプロジェクトを進める機会が日々発生します。その中で、「あの方は非常に優秀だ」「自社にお招きしたいくらいだ」と考えることもあるでしょう。一方で、その方に直接、転職を促すような話をしてしまうと、業界内で自社の評判が毀損したり、揉めたりと、他社と摩擦が生じるリスクも考えられます。そういった場合は、仲介者としてヘッドハンターを活用することで、リスクを最小化しながら、進めることができます。

不動産業界におけるヘッドハンティング成功事例

中堅マンションデベロッパー X社の事例

現在の不動産業界、特にデベロッパーでは、用地仕入れ営業マンの採用競争が激化しています。デベロッパーにとっては、まず初めに土地の仕入れができなければ、その後の開発を推進することはできません。それだけ、用地の仕入れとは、事業の根幹となる要素であり、デベロッパー各社の強豪優位性にも直結します。一方で、用地仕入れ営業の上位層は、現職で相応に良い待遇で勤務している方がほとんどであり、自ら転職市場に出てくることは非常に稀です。「待ち」の姿勢では、優秀な用地仕入れ営業マンの採用が難しいと感じていた、今回のクライアントであるX社は、ヘッドハンティングを利用することを決断しました。 

実際の動きとしては、転職市場だけでなく、当社の持つ人材データベースからターゲットとなり得る人材をピックアップし、ヘッドハンターがアプローチを試みました。その結果、同業他社で活躍しているエース級の用地仕入れ営業マン3名との接触に成功。3名とも複数回に渡り、クライアントとの面談を行い、双方の理解を深めました。その中でもA氏は、ヘッドハンティングのお声がけ以前は、特に転職を考えていなかったものの、クライアントの企業理念や戦略に深い共感を示し、徐々に前向きな姿勢に。最終的には、待遇についても、現職を上回る内容のオファーが提示され、A氏もX社への移籍を決断。結果として、プロジェクト開始から6か月でのオファー承諾が実現し、即戦力となるような用地仕入れ営業マンの採用に成功しました。

成功のポイント

  • 転職市場には少ない、用地仕入れのトッププレイヤーのリサーチに成功し、複数の候補者との面談に成功したこと
  • 不動産業界の知見豊富なコンサルタントが担当となり、業務内容への深い理解を持ってヘッドハンティングが行われたこと
  • クライアント側の採用意欲が非常に高く、コンサルタントと協働してプロジェクトを推進できたこと

人材への投資こそが、将来の企業価値向上につながる

以前は、ヘッドハンティングに対してネガティブなイメージを持っていた企業も多かったですが、近年は、ヘッドハンティングを活用している企業が年々増加してきました。特に、不動産業界は「人材が資本」です。ヘッドハンティング自体のコストは、他の採用手法と比較すると割高に感じられますが、優秀な人材が企業にもたらすものは、目先の利益だけではなく、金銭的価値では測ることのできない部分での企業価値向上にも繋がるのではないでしょうか。今後は一層、人材への投資こそが、企業の生き残りを左右するでしょう。

LEGACY(レガシー)は、不動産業界特化のヘッドハンティングサービスを展開しています。 

  • 不動産業界に精通したコンサルタント陣 
  • 不動産業界における様々な人材との独自ネットワーク 
  • 業界特有の事情や時流を踏まえた採用戦略の支援

など、不動産業界特化のヘッドハンティングだからこそ、ご提供できる付加価値があります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。


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