採用で勝つ!―建設業界×採用コンサルティングの新常識

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金田 侑万
コンサルタント
金田 侑万
文教大学卒業後、国内最大級のヘッドハンティング会社に新卒入社。大手不動産デベロッパーや建設会社等のクライアントを担当するヘッドハンターとして、技術職・専門職のヘッドハンティング業務に従事。 複数の社内表彰を受賞するなど、建設・不動産業界の採用支援において、豊富な実績を有する。 その後、弊社代表の高木と共に株式会社レガシーを創業。建築・内装施工における施工管理や不動産デベロッパーにおける用地仕入れ営業職など、採用難易度が非常に高いポジションのヘッドハンティングを得意としている。 埼玉県出身。

目次

少子高齢化による人材不足に悩まされている日本の労働市場ですが、建設業界の人手不足は特に深刻です。「現場監督・施工管理人材が足りない」「社員が高齢化している」というような声は、近年非常に増えております。しかし、建設業界の採用競争は激化していることから、単純に求人を出して待っているだけで、採用できる時代は終わりました。採用競争を勝ち抜くには、綿密な採用戦略を構築し、実行することが必要となる時代となりました。しかし、建設業界の採用戦略に精通している人材が社内にいることは稀であり、採用のプロによるコンサルティングの必要性は高まっています。本記事では、建設業界における採用コンサルティングの必要性を解説します。

建設業界の人手不足は深刻に

日本の建設業界は深刻な人手不足に直面しており、慢性的な労働力不足が続いています。例えば、建設業の就業者数は1990年代後半をピークに減少を続け、2022年には新規入職者約22万人に対し離職者が約28.7万人と、2012年以降で初めて入職者数が離職者数を下回りました。若年層の業界離れや高齢化によって建設業界の労働供給が細る中、各社の採用力が経営に直結する最重要課題となっています。実際、土木・建築技術者や施工技能者などの有効求人倍率は5倍から8倍超にも達しており、一部職種では求人1件あたり求職者が0.1~0.2人程度という極端な売り手市場です。必要な人材を確保できず、工事の遅延や受注拡大の制約につながるケースも出ています。

特に施工管理などの建設技能者の減少は著しく、2001年には約432万人の建設技能者が従事していましたが、2020年時点では約321万人まで減少しています。一方で、建設投資額は2001年と2020年を比較すると、約60兆円と同水準です。つまり、工事の総量は変わらないが、建設技能者は100万人以上減少している状況です。建設業界が、いかに仕事量に対して人手不足が顕著であるか、データ上でも明確になっています。

資料出所:総務省「労働力調査」、国土交通省「建設投資見通し」

こ2030年には、建設技術者が3.2万人不足するという試算も存在しており、建設技術者の育成・確保は建設会社にとって死活問題になることは間違いないでしょう。そして、若者離れが深刻になり、新卒採用の難易度が高い建設業界では、建設技術者の中途採用市場は極めて競争が激しいものとなっています。

激化する建設業界の採用市場においては、「勝ち組」と「負け組」の二極化が進んでいる傾向にあります。「勝ち組」は有力な人材を引き付け、「負け組」は有力な人材がどんどん退職していく―。「勝ち組」として生き残るには、採用戦略を構築と具体的な施策を打つことが必要です。そこで、注目されているのが、採用コンサルティング会社の活用です。

採用コンサルティングとは?

採用コンサルティングとは、具体的にどういったサービスなのでしょうか。採用コンサルティングとは、企業の採用活動に関する課題を専門家の立場から分析し、採用戦略の立案や施策の提案・実行支援まで幅広くサポートするサービスです。企業が抱える「人材が集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった問題に対し、原因を洗い出し適切な解決策を提案してくれるため、根本的な採用力の向上につながります。単なる人材紹介とは異なり、経営戦略や事業計画に即した人材要件の定義から採用プロセス設計、採用後の定着支援まで包括的に関与する点に特徴があります。採用コンサルタントは自社では得にくい最新の採用市場動向や他社事例の知見を持ち合わせており、それらを踏まえて企業ごとに最適な採用プランを策定します。

採用コンサルティングで提供される具体的なサービス内容は多岐にわたりますが、建設業界において効果的なサービスの一例を紹介します。

採用戦略の設計

採用ニーズの洗い出しから、人材要件の定義、年間の採用計画策定までを支援します。企業の経営計画や組織課題をヒアリングし、必要な人材像や採用人数・時期を明確化します。採用市場や競合他社の動向分析も踏まえ、実現可能かつ効果的な採用戦略を立案します。自社だけでは、「絵に描いた餅」になりがちな戦略立案を、プロの視点でサポートしてもらえる点は大きなメリットです。

採用ブランディング支援

求職者から「選ばれる会社」になるために、採用ブランディングを強化します。自社の強みや魅力を掘り起こし、競合他社と差別化できるコンセプトやメッセージを策定します。たとえば「地域密着で安定受注」「最新技術への積極投資」「社員育成に注力」など企業ごとの特色を打ち出し、それを求人情報や会社説明資料、SNS発信など一貫した形で伝えていきます。建設業界では事業内容の差別化が図りづらい一方で、会社の知名度やイメージがブランディングに大きく影響するため、ブランディング支援によって応募者の母集団形成力を高めることができます。

採用ピッチ資料の作成

求職者に対して自社の魅力や募集ポジションの内容を分かりやすく伝えるための資料を作成します。具体的には、会社概要・ビジョン、施工実績やプロジェクトの魅力、働く環境・待遇、社員インタビューなどを盛り込んだプレゼン資料やパンフレットをプロの視点で制作します。デザイン性やメッセージ性を高めた採用ピッチ資料によって求職者の企業理解を深め、入社意欲を高める効果が期待できます。ミスマッチ防止にも有効な施策です。

採用専門サイトの作成

自社の採用専用ウェブサイトや求人ページの構築・改善も重要なメニューの一つです。求人情報だけでなく、現場社員の声や施工事例、職場の雰囲気が伝わるコンテンツを掲載し、求職者が「この会社で働きたい」と思えるようなサイトを作ります。スマートフォン対応や検索エンジン最適化(SEO)にも配慮し、求職者がアクセスしやすい導線を整備します。採用コンサルタントはサイト構成や掲載内容のアドバイスだけでなく、必要に応じて制作そのものを請け負う場合もあります。魅力的な採用サイトは24時間働く「採用担当」として、優秀な人材の関心を引き付けてくれるでしょう。

「勝ち組」になるためには、採用コンサルティングを上手く活用するべき

建設業界は、最も採用コンサルティングを活用すべき業界の一つであると言えます。その背景には、大きく二つの要因があります。一つは前述したように、業界を取り巻く採用環境が厳しさを増していること。もう一つは、企業内部の採用に関する専門性・リソースの不足です。

業界を取り巻く採用環境が厳し

まず環境面では、有効求人倍率の高止まりや働き手の価値観多様化により、従来型の受け身の採用手法では人材確保が難しくなっています。求人広告を出しても応募が集まらない、新卒一括採用だけでは人手が足りない、といった状況下で、専門的知見に基づく戦略的な採用活動が求められます。事実、多くの企業が「自社だけでは優秀な人材を獲得できない」と感じ始めており、プロの力を借りた採用改革に乗り出しています。この流れは建設業界でも例外ではありません。労働力人口の減少が今後一層深刻化する中、採用コンサルティングのような外部の知見を取り入れ、人材確保の競争力を高めることは企業の存続戦略として重要になっています。

企業内部の採用に関する専門性・リソースの不足

次に社内リソースの課題です。特に中小規模の建設会社では、採用専門の人事担当者が不在であったり、総務部や管理部など他部門と兼任しているケースも多く見られます。その結果、「どんな人材を採れば良いかわからない」「日々の業務に追われ、計画的な採用活動ができない」といった声が上がります。実際、社内に採用ノウハウが不足していて採用戦略を立てられない企業には、採用コンサルティングの利用が適しています。採用コンサルタントは採用成功に導くプロフェッショナルであり、企業の採用課題を客観的に分析して有効な戦略立案を支援してくれます。例えば、「どの媒体を使えばターゲット層に届くか」「自社の魅力をどう打ち出すか」「選考基準は適切か」といったポイントを専門家の視点で見直し、改善策を提示してくれるでしょう。また、自社では把握しきれない最新の採用市場のトレンドや競合他社の状況についての情報提供を受けられるのも大きなメリットです。こうした知見を得ることで、自社の採用活動を時流に合わせてアップデートでき、人材獲得の可能性が広がります。

さらに、採用コンサルティングの活用は社内の負担軽減にもつながります。採用に関する業務をアウトソースすることで、人事・採用担当者にかかる業務負担が減り、本来リソースを割くべきところに注力できるようになります。特コンサルタントとの協働を通じて社内に採用ノウハウが蓄積されれば、将来的には自社の採用力強化にもつながります。このように、採用コンサルティングは不足しがちな「採用のプロの知見」と「実務リソース」を補完し、建設企業が抱える人材確保の課題を解決する有効な手段となり得るのです。

採用コンサルティング導入による成功例3選

ここでは、実際に弊社が支援をした3社の事例を通じて、採用コンサルティング導入の効果を具体的に見てみましょう。それぞれ規模や課題の異なるケースを3つ紹介します。

中堅ゼネコンA社「採用戦略の見直しで即戦力人材の確保に成功」

中堅ゼネコンであるA社は、現場監督など即戦力人材の不足に悩んでいました。従来は、求人広告や紹介で中途採用を行っていましたが、募集しても思うように応募が集まらず、採用計画は大幅に未達の状況が続いていました。そこで、A社は採用コンサルティングを導入し、採用戦略の抜本的な見直しに着手しました。コンサルタントは、まずA社の事業計画や現場の人員配置状況を分析し、求める人材は、「どこに所属しているのか」「現在どういう条件で働いているのか」「どのように訴求したら、自社に来てくれるのか」など、個別具体的に分析をしました。また、自社サイトに特設の採用ページを立ち上げ、社員インタビューや現場写真を掲載して会社の魅力を発信しました。その結果、必要としていた即戦力の現場監督3名を接点を創出することができ、結果的に1名の採用に成功しました。採用までのリードタイムも従来の平均6ヶ月から3ヶ月に短縮され、現場の人手不足解消に大きく貢献しています。A社は「プロの支援で採用のミスマッチが減り、精度が格段に向上した」と手応えを感じており、今後も定期的にコンサルタントのサポートを受けながら人材戦略をアップデートしていく考えです。

地域密着型の工務店B社 「採用ブランディングで若手人材の応募が倍増」

地域の住宅建築を主力とするB社は、高齢化する社員構成に危機感を抱いていました。若手現場監督を採用したくても、「きつい仕事」「将来性が不安」というイメージから応募がほとんど来ない状況でした。専任の人事担当者もおらず、社長自ら求人票を書いて、ハローワークに出す程度の採用活動しかできていませんでした。そこでB社は採用コンサルティング会社に助言を求め、採用ブランディングの強化に乗り出しました。コンサルタントはまず社内ヒアリングを行い、B社の魅力となり得るポイントを洗い出しました。「地域に根ざし安定受注があること」「少人数でアットホームな社風」「未経験から一人前の現場監督に育てる育成力」など、B社が持つ強みを再定義したのです。それらを踏まえて求人内容や採用サイトの内容を刷新しました。例えばキャッチコピーに「建設業界未経験から匠の技を身につける」「家づくりで地域に貢献する喜びを」といった前向きなメッセージを掲げ、若手にも魅力が伝わるよう工夫しました。また給与水準や休日制度の見直しにも着手し、「週休二日・残業少なめ」「住宅手当あり」など待遇面の改善もアピールポイントとして打ち出しました。これらの取り組みにより、B社の求人への反響は大きく変化しました。地元の若者だけでなく都会からUターン希望の技術者などからも応募が寄せられ、応募者数は以前の2倍以上に増加しました。結果的に30代の若手現場監督1名の採用に成功し、社内の若返りのきっかけとなったようです。加えて、「社員を大切にしている会社」というポジティブな企業イメージが地域で浸透したことで、社員のモチベーション向上や離職率低下といった副次的効果も表れています。

専門工事業の施工会社C社「採用プロセス改革で定着率が改善」

内装工事を手掛けるC社では、ここ数年中途採用で入社した社員の早期離職が相次ぎ、頭を抱えていました。書類選考と1回の面接で採用を決める簡素なプロセスだったため、入社後にミスマッチが判明して退職してしまうケースが多かったのです。現場も常に人手不足気味で、教育に手間をかけられない事情もありました。そこでC社は採用コンサルタントの支援を受け、選考プロセスと入社後フォローの徹底的な見直しを行いました。まずコンサルタントは過去の退職者の傾向を分析し、「仕事内容のイメージ違い」「現場の労働環境への不満」が主な原因と突き止めました。そこで、選考段階での相互理解を深めるために、一次面接後に職場見学や先輩社員との座談会を実施するプロセスを追加しました。求職者が入社前に現場の雰囲気や仕事のリアルを知る機会を設けることで、お互い納得感を持って入社・受け入れできるようにしたのです。また面接官トレーニングを行い、応募者の志向や価値観を引き出す質問技法を指導してもらいました。さらに、内定後から入社までのフォロー体制も強化し、定期連絡や必要な情報提供を細やかに行うことで辞退防止に努めました。加えて、入社後の研修プログラムを充実させ、メンター制度の導入によって新人が職場に馴染めるサポートも整備しました。これら採用コンサルティング主導の施策により、C社では中途入社社員の定着率が大幅に改善しました。具体的には、入社1年以内の離職率が従来の50%から10%程度へ低下し、現場における人材の安定確保につながりました。現場社員からも「入社前に職場を見学できたことで安心して決断できた」「相談できる先輩がいるおかげで続けられている」と好評で、社内の人材育成風土にも良い影響を与えています。C社の経営陣は「コンサルタントの助言で採用から育成までの流れが体系立てて整備でき、将来的な人材力強化につながった」と評価しており、継続的な支援のもとさらなる定着率向上と人材育成を目指しています。

以上のように、採用コンサルティングの導入によって建設業界の企業はそれぞれの課題に即した成果を上げることができます。戦略立案、ブランディング、プロセス改善などアプローチはケースごとに異なりますが、共通しているのは「採用のプロ」の知見を取り入れることで採用力が飛躍的に向上している点です。人材獲得難が叫ばれる中で、外部の力を上手に活用することが各社の持続的成長に寄与する好例と言えるでしょう。

まとめ

慢性的な人材不足に直面する建設業界において、従来型の採用手法だけで必要な人材を確保することはますます難しくなっています。中途採用への意識や施策が十分でない企業は、自社の採用課題を見極め戦略的に解決していくプロの支援を活用することで、人材確保力を飛躍的に高めることが可能です。採用コンサルティングは、採用戦略の設計から実行まで専門知識に基づく包括的なサポートを提供し、企業が直面する「人が採れない」「定着しない」といった課題に対する効果的な解決策をもたらします。特に採用専任者が不足しがちな建設業界の中小企業にとっては、限られたリソースで最大の採用成果を引き出すための強力なパートナーとなるでしょう。事例からも明らかなように、採用コンサルティングの導入により採用計画の精度向上、母集団形成力の強化、ミスマッチの低減、ひいては社員定着率の改善といった多くのメリットが得られています。

「採用に困っているが、打ち手が分からない」

「採用専門の担当者がいない」

「中途採用に関するノウハウが少ない」

 こんな悩みを抱えている建設事業者は、採用コンサルティングの活用を検討する価値があります。今後、建設業界で生き残っていくには、「いかに優秀な人材を確保するのか」が命題になってくることが間違いありません。既存サービスでの採用が、上手く機能していない会社ほど、採用コンサルティングが人材不足解消への有効な一手となるでしょう。

LEGACY(レガシー)は、建設業界特化の採用コンサルティングサービスを展開しています。

  • 建設業界に精通したコンサルタント陣
  • 建設業界における様々な人材との独自ネットワーク
  • 建設業界特有の事情や時流を踏まえた採用戦略の支援

など、建設業界特化の採用コンサルティングだからこそ、ご提供できるサービスがあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。

※プロジェクト設計及びお見積りは無料です。

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