【現場監督の採用】ヘッドハンティングニーズが高まっている

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浅利 光
コンサルタント
浅利 光
筑波大学体育専門学群卒業後、独立系M&A仲介会社に入社し、M&A案件のソーシング及びエグゼキューションに従事。 建設セクターを担当するチームに所属し、建設業界・建設コンサルタント業界において、事業承継や人材不足等の課題を抱える中小企業オーナーに対するコンサルティング業務を行う。 その後、東証プライム上場のM&A仲介会社を経て、株式会社レガシーに参画。建設コンサルタントや建築・土木・管・電気等の施工管理技士の有資格者の採用支援を得意とする。 北海道出身。

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少子高齢化による人手不足に悩まされている日本の労働市場ですが、建設業界の人手不足は特に深刻です。特に、現場監督不足は顕著であり、現場監督が確保できないたために、受注を意図的に止めているケースも多いようです。商業施設やマンションなどの企画・開発を行うデベロッパーは、受注余力のあるゼネコンが非常に少ない状況が続いているため、発注するゼネコン選定に苦労しています。その最大の要因は、現場監督不足であり、現場監督が足りないがために受注余力を確保できないのです。そういった状況から、現場監督のヘッドハンティングのニーズは高まっています。本記事では、現場監督のヘッドハンティングについて解説します。

高い建設需要に対して、減り続ける現場監督

令和4年には、公共投資・民間投資合わせて、70兆円に迫る建設投資額となっており、最も建設投資額が低かった平成23年度の約42兆円と比較すると、2倍近い水準まで、増加しています。一方で、国土交通省の統計によれば、建設業全体の就業者数は1997年(平成9年)の約685万人をピークに減少を続け、2022年(令和4年)時点では約479万人とピーク時の7割程度まで落ち込んでいます。特に現場監督を含む建設技術者の数は、1997年に約41万人でしたが2010年(平成22年)に約31万人まで減少し、その後徐々に持ち直して2022年には約37万人となっています。この20年以上の推移を見ると、建設技術者数は 20年前とほぼ同水準で横ばい であり、大幅な回復には至っていません。建設業界では熟練人材の高齢化も進んでおり、55歳以上が全就業者の3割超を占める状況で若手技術者の確保・育成が課題となっています​。このように、建設需要が高い水準で推移しているものの、現場監督を含む技術者人材の絶対数は減少・停滞傾向にあり、需要と供給のミスマッチが深刻化しています。特に現在の建設業を支えている50代の現場監督は、10年後には引退の時期に差し掛かります。そうなると、主力の現場監督が引退してしまい、一層、現場監督の不足感は深刻化すると想定されます。

資料出所:国土交通省「建設業(技術者制度)をとりまく現状」

現場監督の役割と重要性

建設プロジェクトの円滑な遂行には、現場を統括する現場監督(施工管理技術者)の存在が不可欠です。現場監督は、工事現場において「工程管理」「原価管理」「品質管理」「安全管理」という4大管理をバランスよく統括し、リーダーシップを発揮してプロジェクトを成功に導く役割を担います。工程管理では工期内に工事を終えるための進捗調整、原価管理では予算内での施工、品質管理では設計図書どおりの品質確保、そして安全管理では労働災害ゼロを目指した安全措置の徹底など、現場監督は多岐にわたる責任を負っています。現場監督は、「現場での社長」と言われることもあるほど、施工現場に携わる多くの人々の中でも代えがきかない特別なポジションです。

AIでの建設現場の効率化を目指す動きが盛んですが、現場監督はAIにとって代われない存在だと考えています。なぜなら、多くの職人や工事関係者を統率することは、事務的な仕事だけではなく、職人のフォローや近隣住人への気遣いなど、人間だからこそ成り立つ仕事なのです。

現場監督は、現場での進捗や納まりを見ながら調整を行う必要があるため、経験がものをいう部分が大いにあります。そのため、一人前の現場監督を育成するためには、少なくとも10年は要すると言われており、それだけ、育成にも時間がかかる職種なのです。そのため、即戦力の現場監督を採用しようと、ヘッドハンティングを含む中途採用のニーズが高まっているのです。

現場監督のヘッドハンティング成功例

現場監督の採用ニーズが高いことは明白ですが、現場監督の中途採用は簡単ではありません。多くの建設会社が即戦力の現場監督を求めているため、現場監督の採用競争は非常に激しくなっています。某転職サイトに登録した現場監督の方は、1か月で50通のスカウトメールを受け取ったそうです。つまり、それだけ、即戦力の現場監督人材を採用したいニーズが高く、採用難易度は年々高くなっています。

そこで注目されているのが、ヘッドハンティングです。ヘッドハンティングは、企業が必要とする人材をヘッドハンティング会社が能動的に探し出し、転職意向の有無に関わらず直接アプローチする採用手法です​。通常の求人広告や人材紹介サービスでは「求職者(現在転職活動をしている人)」を対象にしますが、ヘッドハンティングの場合は求職者以外も含めてアプローチできる点が大きな特徴です。言い換えれば、現在は他社で働いていて、転職を考えていない優秀な人材にも接触し、採用の候補にできるということです。

下記に、当社で支援させていただいたクライアント企業で、現場監督のヘッドハンティングに成功した事例を解説します。

受注好調だが現場監督不足の中堅空調工事会社A社

地方有数の空調設備工事会社であるA社では、リニューアル工事の元請けを中心とする企業です。近年、仕事の受注は順調にもかかわらず現場監督が圧倒的に不足していたため、受注を意図的に制限せざるを得ない状況に陥っていました。新卒社員や未経験者を一から育成する時間的余裕もなく、即戦力となる優秀な施工管理技術者を複数名採用したいと考えたものの、通常の公募では現場監督を確保するのは難しい状況が続いていたため、ヘッドハンティングの活用を決断しました​。サブコン業界に知見のあるヘッドハンターが業界内の候補者をリサーチし数ヶ月かけてアプローチした結果、当時転職活動中ではなかった30代の現場監督を、採用することに成功しました。こちらの現場監督の方は、家庭があるため、「収入を上げつつも、一定のワークライフバランスを確保したい」といった漠然とした転職ニーズを抱えていたタイミングでヘッドハンティングを受け、結果的に年収アップと勤務環境の改善を実現し転職を決意。結果的に、企業側と人材側双方にとって満足度の高い採用成功例となりました。

採用難で案件辞退が発生していた建設会社B社

関東地方の中堅建設会社B社では、案件数の増加に対して施工管理体制の強化が追いつかず、現場監督不足により仕事の依頼を断る事態が頻発していました​。転職サイトに有料の求人広告を出し、急募を試みたものの、応募がほとんど来ない状況で、このままでは機会損失が拡大すると判断した経営陣は、最後の手段として専門のヘッドハンティング会社への依頼に踏み切りました​。ヘッドハンターが動いた結果、競合他社で15年の施工管理経験を持つ即戦力人材など、3名の中途採用に成功し、B社は不足していた現場監督を補充することができました。地方の中小建設企業にとってヘッドハンティングの採用コストは決して安価なものではありません。一方で、昨今の建設需要を考慮すると、人材さえ確保できれば、仕事は豊富にある状況ですので、ヘッドハンティングは結果的に費用対効果が高い採用手法といえるでしょう。

ベテラン現場監督の採用に成功したプラント工事会社C社

中国地方のプラント工事会社C社では、長年、中途採用に苦戦をしていました。特に、経験豊富な現場監督を求めていたものの、通常の媒体経由では応募もなく、八方ふさがりという状況でした。これ以上、待ちのスタンスではいけないと、危機感を募らせ、経営陣で話し合った結果、ヘッドハンティングの利用を決断しました。プラント工事業界での成約実績があるヘッドハンターが担当し、リサーチを進めましたが、プラント工事は現場監督の母数が限られているため、アプローチは難航。しかし、タイミング良く、転職も視野に入れていたベテラン現場監督と接点を持つことに成功。複数回の面談を経て、C社に魅力を感じていただき、採用決定となりました。この方は、プラント工事業界一筋のベテラン現場監督であり、会社全体の技術力底上げや育成にも、貢献することを期待されての採用決定でした。

何故、現場監督の採用にヘッドハンティングが有効なのか?

上記の事例が示すように、慢性的な人材難に陥っている建設会社にとって、ヘッドハンティングが有力な手法となり得ます。では、その理由はどこにあるのでしょうか。現場監督の採用にヘッドハンティングが有効な背景を解説します。

現場管理に忙殺され、転職活動を進められない

現場監督は、多忙を極める仕事です。建設現場の最高責任者である以上、現場が動いている限りは品質管理・安全管理のため、現場管理にコミットする必要があります。またそれだけではなく、現場監督には、現場での業務以外にも、安全書類を作成したり、図面をチェックしたりと、膨大な事務作業もこなさなければなりません。目の前の業務に忙殺されることが多いため、キャリアについて、ゆっくり考えられる時間がない方が多いようです。そのため、仮に転職したいと考えていても、転職活動に時間がとれないのです。つまり、現場が忙しいから転職活動はしていないものの、潜在的な転職ニーズを抱えている方は一定数いらっしゃいます。ヘッドハンティングは、そういった潜在的な転職ニーズを持っている現場監督にアプローチを行うことが可能です。加えて、現場業務で忙殺されている現場監督の転職活動を、ヘッドハンターがサポートしながら話を進めますので、双方にとって円滑に話を進めることが可能です。

転職活動の進め方を知らない方が多い?

あくまでも弊社コンサルタントの主観的な意見ではありますが、建設業界の技術者、特に現場監督の方々は、転職活動の進め方を心得ていない方が多いと感じています。例えば、IT業界やコンサル業界の方々は、転職=キャリアアップのための手段、という価値観が浸透しており、自ら能動的に転職活動を行うことが多い傾向にあります。一方、現場監督の方々はどうでしょうか。もちろん、全ての方がそうとは限りませんが、比較的、転職=「良いことではない」「自分には縁がない」「積極的に考えるべきものではない」という価値観を持っている方が、多い傾向にあります。そのため、自ら能動的にポータルサイトに登録したり、エージェントと定期的に接触したりしている人が、他業界と比較すると少ないです。そのため、ヘッドハンターからのオファーは、現場監督の方々にとって一つのきっかけになることが多く、潜在的な転職ニーズを掘り起こす、という意味では、有効的な手段といえます。

ヘッドハンティングは人材不足解消への有効な一手となる

本記事では、現場監督の中途採用におけるヘッドハンティングのメリットについて、解説をしてきました。

  • 「若い人や未経験人材を採用しても、すぐに辞めてしまう」
  • 「自社の人材育成にかけるコストや時間がない」
  • 「仕事はいくらでもあるが、対応できる現場監督が足りない」

 こんな悩みを抱えている建設会社は、ヘッドハンティングの活用を検討する価値があります。今後、建設業界で生き残っていくには、「いかに優秀な現場監督を確保するのか」が命題になってくることが間違いありません。既存サービスでの採用が、上手く機能していない会社ほど、ヘッドハンティングが人材不足解消への有効な一手となるでしょう。

LEGACY(レガシー)は、建設業界特化のヘッドハンティングサービスを展開しています。

  • 建設業界に精通したコンサルタント陣
  • 建設業界における様々な人材との独自ネットワーク
  • 建設業界特有の事情や時流を踏まえた採用戦略の支援

など、建設業界特化のヘッドハンティングだからこそ、ご提供できるサービスがあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。

※プロジェクト設計及びお見積りは無料です。

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