少子高齢化の影響で、採用市場では厳しい人材獲得競争が繰り広げられています。従来のような、求人広告を掲載して応募を「待つ」手法が難しくなっている中、企業やエージェントが積極的に求職者にアプローチする「攻め」の採用手法が注目を集めています。そのうちの一つが、企業がデータベースから条件に合う人材を見つけ、直接スカウトメールを送って接点をつくり採用していく「ダイレクトリクルーティング」という手法です。
この手法を日本に初めて導入したのがビズリーチです。女優が人差し指を立てて「ビズリーチ!」とアピールしているCMで知るようになった人も多いと思います。サービスが登場した当初は、競合も少なく、効果的なサービスでしたが、その後ダイレクトリクルーティングを利用する企業が急増し、一人の求職者が複数の企業からスカウトされるのが一般的になり、サイト内での競争が激化しています。
一方、「攻め」の採用手法には他に、企業に代わってヘッドハンターが求職者にアプローチをする「ヘッドハンティング」という手法もあります。欧米では以前より、優秀な人材の獲得方法として活用されてきましたが、近年、日本でもヘッドハンティングの事例は増え、徐々に浸透しつつあります。今後、企業が力を入れていくべきは、ダイレクトリクルーティングかヘッドハンティングか。転職市場に精通するコンサルタントがさまざまな角度から解説します。
国内最大サイトのビズリーチとは
ビズリーチは2009年創業の転職プラットフォームを運営する企業です。創業者の南壮一郎氏は、海外で盛んな、企業が人材データベースやSNSを活用し、条件に合った人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」と言われる手法に注目しました。これをヒントに即戦力人材に特化した人材データベースを企業に提供し、その中から自社の求める条件に合った求職者を抽出し直接スカウトメールを送れる仕組みをつくり上げました。企業は、データベース利用料に加えて、成果報酬として理論年収に応じたフィーを支払います。2024年1月末時点で、スカウト可能な会員数は236万人を超え、導入企業数も累計28,900社以上に達しました。加えて、利用ヘッドハンター数は、7000名を超え、非常に活況な転職ポータルサイトであると言えます。
また、ビズリーチを運営するビジョナル社は2021年4月には株式上場を果たし、今年3月14日に発表された2023年8月から2024年1月期の連結決算では、純利益が前年同期比で74%増の72億円に達するなど、その存在感をますます増しています。
盛り上がりを見せるビズリーチですが、サービスが躍進する一方で、「ビズリーチは採用できない」「ビズリーチ経由の採用は難しい」という声も挙がっており、利用する企業にとってはネガティブな要素もあります。
出典:ビジョナル第1四半期決算資料(ビジョナル・2023年12月14日)
ビズリーチでの採用は年々難しくなっている
利用企業増で中小企業は苦戦
ビズリーチは近年、中小企業を中心に、「なかなか採用に至らない」という声を耳にします。それは、人材データベースに登録する求職者の伸び以上に、利用企業数の増加が顕著になっており、需給バランスが崩れていることが一つの要因です。登録者は、数多くの企業からスカウトメールを受け取ることが前提となってしまい、その中で目につくのはやはり、「ネームバリューの高い企業」「高年収の求人」などのスカウトです。つまり、大手企業はブランド力や知名度がある上に、給与面でいい条件を提示できるため、短い文面や条件だけでも登録者の関心を引くことができます。そのため、中小企業や知名度の低い会社は苦戦を強いられているのが現状です。
それに加えて、転職意向の低い登録者も増えています。「自分の市場価値を知るためにビズリーチに登録した」という動機の登録者が増えており、登録者とカジュアル面談をしても、その後、進捗しないケースも増えているようです。
スカウト送付にも手間がかかる
企業から直接届くスカウトメールは、エージェントなど社外の人間からの声かけよりも求職者に喜ばれる面はあります。実際、企業からのスカウトメールは、エージェントからのものに比べて開封率や返信率が高いのが一般的です。しかし、不特定多数に向けた求人広告を掲載して「待つ」というやり方よりも、スカウトはより能動的な手法になるため、工数がかかります。膨大なデータベースの中から適切なキーワードで絞り込み、ターゲットとなる人材を抽出する作業だけでも、かなりの工数を割かれます。
また、スカウトメールは、自社の魅力を伝えることが大事なのはもちろんですが、候補者から「この企業は自分のことをきちんと見てアプローチしてきている」と思ってもらえるような一人一人に合わせた文面にしていくことが重要になります。大量の候補者に一斉送信するようなメッセージは求職者に響かないだけでなく、マイナスイメージを持たれてしまう可能性すらあります。
この点でも工数をかけていく必要があると言えますが、ほとんどの企業では、採用活動に専念できる人員が限られているため、専任の採用担当者を設置できず、他の業務と兼任している社員が採用を行うことも多々あります。そのため、スカウトメールの作成に必要な工数を確保できず、ビズリーチと契約してもスカウトメールの送信数を消化できていないケースもあるようです。
さらに、メールでターゲット人材に興味喚起できてから後の、面談から採用までのプロセスも非常に重要です。近年、SNS経由で、「お茶でもしながら情報交換しませんか?」と気軽に声をかけることで、通常の面接に来てもらうよりも候補者の心理的ハードルを下げて、優秀な人材との早期接触を図る「カジュアル面談」も広まってきてはいますが、多くの企業にとって、志望度がそれほど高くない人材と何度も面談を重ねて採用までつなげていくという工数を確保するのは難しいかもしれません。ビズリーチ等のダイレクトリクルーティングはコストが比較的抑えられる一方で、工数がかかることには注意が必要です。
ミスマッチが生じやすい
また、ビズリーチを利用して自社でスカウトを行う場合、採用には成功しても、第三者を介した場合よりも入社後のミスマッチが高くなる可能性があります。現在の超売り手市場では、企業が選ばれる立場になることが多くなっています。そのため、ターゲット人材の適性を見極めて選別するという視点が忘れられがちで、採用目標を達成するために自社の良い面ばかりを強調してしまいがちです。
候補者にとっても、たとえカジュアル面談のような形式であっても、企業の担当者と直接やりとりする際は、緊張するのが普通であり、その結果、必要以上に自分を良く見せようという意識が働くのは避けられません。「退職代行」というサービスが登場し需要が高まっていることから、若い世代を中心に「思っていた職場と違う」と感じて早期退職する人が増えていると言えます。建設業界でも施工管理職などで退職代行の利用例が見られます。採用できたら終わりではなく、入社後の定着を考慮していく重要性が、年々高まっていると言えます。
ヘッドハンティングはビズリーチでは採用できない人材にもリーチができる
ビズリーチを利用しても、思うような効果を上げられていない場合、採用手法自体を見直す必要があります。その際に、ヘッドハンティングの利用を検討すべき理由を解説します。
ビズリーチ登録前の人材にアプローチできる
ヘッドハンティングでは、ビズリーチに登録していない潜在的に転職する可能性のある人材に広くアプローチが可能です。建設業界では、毎日、多忙な業務に追われ、「もう少し休みが欲しい」といった漠然とした希望を持っていながら、自分の市場価値を把握する余裕もなく、転職活動に時間を割くことができない方が非常に多いです。そういった転職市場に出る前の人材にアプローチし、信頼関係を育てながら「口説く」姿勢で臨むことで、優秀な人材を採用できる可能性が格段に高まります。
ヘッドハンターが、第三者として声をかけることによって、候補者も気軽に面談に応じやすくなり、一対一で向き合う機会が増えます。こうして得られた機会を通じて、スカウトメールだけでは伝えきれない社内の雰囲気、成長機会、柔軟な働き方、社員同士の距離の近さなどの魅力を伝えることができるため、特に中小企業や知名度の高くない会社にとって、非常に有効な方法と言えるでしょう。
本当の意味でのヘッドハンティング
ビズリーチ上では、多くの人材紹介会社がスカウトを大量に送り続けています。「本当にその登録者の経歴をしっかり確認しているのか」「本当に、その人である必要があるのか」、スカウトの質に疑義があるエージェントが増えています。そういったポータルサイトを利用しないヘッドハンティングでは、通常、事前にターゲット人材の調査を徹底的に行います。「どういった実績があるのか」「どういったスキルがあるのか」など、綿密なリサーチを行いますので、誰にでも構わず声をかけるわけではありません。ヘッドハンティングのオファーを受け取ったターゲット人材からみても、納得感のある話になります。
転職後の高い定着率
厚労省が毎年調査している雇用動向調査結果によると、「個人的理由」による離職はおおよそ10%程度で推移しています。それに比べるとヘッドハンティングで採用した場合の、早期離職リスクは低い傾向にあります。
当社では就業開始から6ヵ月以上経過した全人材の就業状況の調査を定期的に行っており、その結果、ヘッドハンティングをされた人材が移籍後に離職する率は“1%以下”と極めて低水準であるというデータがあります。企業の中核社員として定着することを期待された人材が、早期離職せずに活躍されているのは我々ヘッドハンターとしても嬉しいことであります。その背景として、①企業と候補者が面談する場は選考ではないため自分を誇張する必要がない②転職意欲が元々高くない為に決断時の覚悟が違う、という2つの大きな背景があるようです。
ヘッドハンティングは結
本記事では、ビズリーチとヘッドハンティングの違いについて説明してきました。
ヘッドハンティングは「攻め」の採用手法であるという点はダイレクトリクルーティングと同じですが、対象とする母集団が異なります。ポータルサイトには現れない、現職でも活躍中の人材に対して訴求するヘッドハンティングは、企業規模に関わらず有効な手法です。
- 「ビズリーチと契約したが、うまくサービスを活用できていない、採用できない」
- 「大企業ほど採用活動にかけるコストや時間がない」
- 「若くて優秀な人材を採用できても、すぐに辞められてしまう」
こんな悩みを抱えている建設事業者は、ヘッドハンティングの活用を検討する価値があります。
LEGACY(レガシー)は、建設業界特化のヘッドハンティングサービスを展開しています。
- 建設業界に精通したコンサルタント陣
- 長年の業界経験から構築された建設会社オーナー様との独自ネットワーク
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など、建設業界特化のヘッドハンティングだからこそ、ご提供できるサービスがあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
※プロジェクト設計及びお見積りは無料です。