近年、ビズリーチを中心に、スカウト型採用サービス(ダイレクトリクルーティング)の台頭が目立ちます。これまでは、求人広告や人材紹介が主な採用ツールだったものの、近年はスカウト型採用サービスを利用する企業も増えてきました。企業が求職者に直接アプローチできる手法は革新的である一方で、近年は、スカウト型採用サービスに対してネガティブな意見も耳にします。特に、建設業界との親和性は低い傾向にあり、建設業界でスカウト型採用サービスは有効なのか、については賛否両論あります。本記事では、建設業界の採用事情に詳しいコンサルタントが、建設業界におけるスカウト型採用サービスの有効性について解説します。
スカウト型採用サービスとは
スカウト型採用サービス(ダイレクトリクルーティング)とは、企業側がスカウト型採用サービスに登録している登録者データベースから自社に合った人材を検索するなどして、直接探し出し、ダイレクトメール等でアプローチする採用手法です。従来の求人広告に応募を待つ「受け身」の採用とは異なり、企業自らが「攻め」の姿勢で潜在的な転職希望者にもアプローチできる点が特徴です。少子高齢化による人材不足が深刻な中、こうした手法は優秀な人材を効率的に、低単価で獲得できる方法として注目されています。建設業界でも慢性的な人材不足が課題となる中、経験豊富な即戦力人材を掘り起こす手段としてスカウト型サービスの活用が広がりつつあります。一般的な採用手法との違いとして、スカウト型では企業側から直接働きかけるため、今すぐ転職する意思がない「潜在層」にもアプローチ可能です。また求人媒体や人材紹介会社を介さずダイレクトにやり取りできるため、選考までのスピードが速い利点もあります。一方で、企業自身が候補者選定や連絡を行うため工数がかかることに注意が必要です。このようにスカウト型採用サービスは従来手法と比べ積極性と柔軟性がある反面、企業側に高度な採用スキルとリソースを要求する手法と言えます。
スカウト型採用サービス(ダイレクトリクルーティング)の市場規模は、人手不足と人材獲得競争の激化を背景に、近年、右肩上がりで増加しています。株式会社矢野経済研究所による調査では、2022年度では872億円でしたが、2023年度は事業者売上高ベースで前年度比23.2%増の1,074億円でした。今後も、新たな事業者の参入も含めて、スカウト型採用サービス市場は伸びていくと見込まれています。
資料出所:株式会社矢野経済研究所 ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査(2024年)

主要サービス3選
ビズリーチ(BizReach)
特徴・利用者層: ビズリーチは国内で草分け的存在のハイクラス向けスカウトサービスです。匿名の職務経歴を登録すると、厳選された企業やヘッドハンターからスカウトが届く仕組みで、掲載求人の約3分の1は年収1,000万円以上という高い専門性を求めるポジションが占めます。求職者側には登録審査があり、20代後半で年収400万円以上、30代以上では年収500万円以上といった基準を満たす人材が中心です。そのため会員層は30~40代の管理職・専門職経験者が多く、年収800万円以上を目指す建設・ゼネコン業界のプロ人材にも利用されています。累計導入企業は3万社を超え、高年収層の転職プラットフォームとして確固たる地位を築いています。
料金体系: ビズリーチは企業側利用料が高額な点でも知られます。他サービスに比べても割高で、最も安いスタンダードプランでも半年で85万円(約月15万円)の基本利用料がかかり、これにはスカウト送信400通分が含まれます。400通を超える追加スカウトは20通ごとに10万円の追加料金が発生します。さらに採用が決まった際には入社者の理論年収の15%を成功報酬として支払う必要があります。例えば年収800万円の人材を1名採用すれば120万円、複数名採用すれば人数分だけ成功報酬も増える仕組みです。このようにビズリーチは優秀な人材データベースを提供する代わりに、企業にとってかなり高いコスト負担となります。
リクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)
特徴・利用者層: リクルートダイレクトスカウトは人材大手リクルートが運営するハイクラス向けスカウトサービスです。ビズリーチと違い登録時の審査はなく、経歴を入力すれば誰でも利用開始できます。求職者が匿名レジュメを登録して待つだけで、企業の採用担当者や提携ヘッドハンターからスカウトが届く仕組みです。対象者の目安は現年収600万円以上の即戦力層ですが、実際には様々な属性のユーザーが毎月2万人ペースで新規登録しており、20代後半から50代まで幅広い層が含まれます。リクルートならではの強みとして、AIが企業の求める人材要件と登録レジュメを分析しマッチ度の高い候補者を自動推薦してくれるため、企業は効率的にターゲットを絞り込めます。建設業界の求人も7万件以上掲載(非公開含む)と業界トップクラスで、ゼネコンや設備会社などからのスカウト実績も豊富です。 料金体系: リクルートダイレクトスカウトは初期費用・月額費用が無料で導入しやすい料金体系を採っています。採用が成功した場合にのみ成果報酬として手数料が発生し、その額は入社決定時の理論年収の15%です(万が一入社後すぐ退職した場合の返金保証制度あり)。スカウト送信数や求人掲載数にも制限はなく、採用人数に達するまで何通でもアプローチ可能です。この成功報酬型モデルにより、採用が決まるまでは費用ゼロで利用できるため、ベンチャー企業や中小建設企業でも導入しやすいとされています。ただし成功時の15%手数料は年収次第で大きな金額となるため、複数名を採用すれば結果的に高コストになる点は留意が必要です。
doda X(デューダエックス)
特徴・利用者層: doda Xはパーソルキャリア社が運営するハイクラス転職サービスで、近年企業から直接スカウトが届く機能も追加された注目のプラットフォームです。登録に審査はなく無料で利用でき、ビズリーチ同様にスカウト型の転職サービスですが、希少価値の高い「ダイヤモンドスカウト」が届く仕組みが特徴とされています(ダイヤモンドスカウト=特に条件マッチ度が高い貴重なオファー)。doda Xは元々ヘッドハンター経由の求人紹介が強みで、2024年4月から企業直接スカウトも開始しサービスを拡充しました。約7,000名の厳選ヘッドハンター陣が在籍し、年収800万~2,000万円クラスの非公開求人も多数扱っています
RESKILL.GAKKEN.JP。会員データベース規模は約345万人と非常に大きく、IT・通信、メーカー、建設・不動産業界に強みを持ち5万件超のハイクラス求人を保有しています
RESKILL.GAKKEN.JP。年代も20代後半から50代まで幅広く、準ハイクラス以上であれば年齢問わず利用者が多い点も特徴です
KAKEHASHI-SKYSOL.CO.JP。
料金体系: doda X(企業向けサービス名「dodaダイレクト」)の料金は月額利用料+成功報酬型のプランが用意されています。具体的な金額は求人ポジションや契約期間によって異なるため都度見積もりとなっていますが、基本的な成功報酬率は他社と同様に入社決定時の年収の15%程度とみられます。月額固定費と成果報酬を組み合わせた料金体系のため、若手からハイクラスまで幅広い層の採用に対応できる柔軟さがあります。実際に1000社以上が導入しており、競合の多い建設業界でも採用成功事例が豊富とされています。もっとも、上位プランでは費用も高額になるため、中小企業の場合は必要な人材層に絞って効率的に利用することが求められます。
スカウト型採用サービスと建設業界との親和性
昨今、盛り上がりを見せているスカウト型採用サービス(ダイレクトリクルーティング)ですが、建設業界との親和性は、果たして高いのでしょうか。結論、多くの建設業界のクライアントを支援してきた弊社の見解では、スカウト型採用サービスと建設業界との親和性は非常に低いと考えています。その理由を解説します。
そもそも建設業界の登録人材が比較的少ない
建設業界で最も求められるのは、「施工管理」や「設計」「積算」などの技術系の職種です。そういった、建設業界の技術職の方は、転職活動に関する知見が少ない方が多く、プラットフォームを駆使して、自ら能動的に転職をするという機会が、他業界と比較すると少ない傾向にあります。その根拠として、ビズリーチに登録している人材のうち、建設業界の人材は5%程度というデータがあります。IT業界、コンサルティング業界などと比較をすると、まだまだアナログな慣習が残っており、それが転職活動にも影響している面はあるでしょう。転職潜在層にリーチできることが魅力となるスカウト型採用サービスですが、そもそも、求めている建設業界の技術系の登録者の数が少ないようであれば、プラットフォームとしての価値は薄いといえるでしょう。
登録人材の質が低下している傾向
スカウト型採用サービスは、サービスがリリースされた当初は、ハイクラス人材向けのサービスでした。しかし近年は、スカウト型採用サービスを運用している事業者は、プラットフォームへの登録者増加を狙い、CMなどのマーケティングに大きく投資しています。その結果、2011年7月時点で70,002名だった登録者数が、2023年1月末時点では1,900,000名を突破しています。登録者数が増えることは、スカウトできる人材の母集団が増える一方で、本来はハイクラスに分類されない人材が多く流入してきており、プラットフォームとしての質に疑問の声が挙がっています。多くの建設会社が求めているような、レベルの高い即戦力の施工管理人材や設計人材が、スカウト型採用サービスのプラットフォームも登録していることは非常に稀であり、登録者層はまさに玉石混交といえる状態です。
超売り手市場でスカウト乱発状態に
仮に、レベルの高い人材がプラットフォームに登録していたとしても、その人材は多くの企業が欲しい人材であり、いわゆる超売り手市場です。故に、数多くの企業やエージェントが、優秀人材に対してスカウトを送ります。その結果、人材側は数多くのスカウトを受け取ることになり、多い人では、月に50件以上のスカウトを受け取ることもあるそうです。これでは、企業側からすると、自社のスカウトが候補者の目に留まる確率は著しく低く、優秀人材に対してリーチできているとはいえないでしょう。
建設業界は「ヘッドハンティング」が有効
スカウト型採用サービスで思うような成果が挙げられない建設会社は、ヘッドハンティングを選択肢の一つに入れることおすすめします。ヘッドハンティングは、コストは比較的高いものの、本当の意味で転職潜在層へのリーチが可能であり、既存の採用手法では出会えない優秀な人材とのマッチングが実現できます。では、どのような形で導入したらの良いのでしょうか。弊社で支援させていただいた、クライアント様の事例を紹介しながら、解説します。
中堅空調工事会社 A社の事例
A社は、地場有数の空調工事業者として、主に工場や商業施設等の非住宅の空調工事を行っている、いわゆるサブコンです。受注は非常に好調であるものの、現場監督が圧倒的に不足しており、受注を意図的に止めている状況でした。未経験者を育成する期間を設けることは難しく、売上増を狙って現役の優秀な施工管理技術者を複数名、中途で採用したいと考えていました。ただし、現役の施工管理技術者の複数採用は通常の採用手段では難しいため、ヘッドハンティングの活用を決断しました。
実際の動きとしては、同業界の候補者のリサーチを行い、数か月をかけてターゲット候補者をリストアップ。その後、一人一人の候補者に対してヘッドハンターがアプローチを行いました。結果的に数名の候補者との採用面談が実現。最終的には、近隣地域の中堅企業に勤務していた30代の施工管理の方の採用に成功しました。この30代の方は、当時、積極的に転職活動をしていたわけではなかったのですが、「給料を上げたい」「もう少し休みを確保したい」などの漠然とした悩みを抱えていました。そんなタイミングで、当社のヘッドハンターからのお声がけがあり、今後のキャリアを考えるひとつのきっかけに。最終的には、年収アップも実現され、クライアント・ターゲット、双方にとって満足していただけるようなプロジェクトとなりました。

成功のポイント
- 転職市場には少ない、30代・40代の管工事の施工管理資格者のリサーチに成功し、複数の候補者との面談に成功したこと
- 建設業界の知見豊富なコンサルタントが担当となり、業務内容への深い理解を持ってヘッドハンティングが行われたこと
- 企業側の採用意欲が非常に高く、コンサルタントと協働してプロジェクトを推進できたこと
採用手法は費用対効果で考えるべし
本記事では、建設業界におけるスカウト型採用サービスについて、解説をしてきました。スカウト型採用サービスは、比較的安価かつ手軽に開始できるものの、活用の難易度は非常に高く、採用に結びつかないことも多いため、結果的に費用対効果は悪いという声を良く聞きます。特に、建設業界との相性は良いとは言えず、スカウト型採用サービスで施工管理や設計などの建設系技術者を採用することは、至難の業でしょう。
採用難易度の高い施工管理や設計などのポジションは、ヘッドハンティングが有効なケースがあります。コスト自体はヘッドハンティングの方が高いものの、採用成功率はスカウト型採用サービスより圧倒的に高く、費用対効果でみると、有力な採用手法の一つといえます。超人手不足時代に突入する中、今後、建設業界で生き残っていくには、「いかに優秀な人材を確保するのか」が命題になってくることが間違いありません。既存サービスでの採用が、上手く機能していない会社ほど、ヘッドハンティングを検討する価値があります、
LEGACY(レガシー)は、建設業界特化のヘッドハンティングサービスを展開しています。
- 建設業界に精通したコンサルタント陣
- 建設業界における様々な人材との独自ネットワーク
- 建設業界特有の事情や時流を踏まえた採用戦略の支援
など、建設業界特化のヘッドハンティングだからこそ、ご提供できるサービスがあります。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
※プロジェクト設計及びお見積りは無料です。