建設業界で成功する採用活動とは?プロが語る人材確保に成功するためのポイント

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金田 侑万
コンサルタント
金田 侑万
文教大学卒業後、国内最大級のヘッドハンティング会社に新卒入社。大手不動産デベロッパーや建設会社等のクライアントを担当するヘッドハンターとして、技術職・専門職のヘッドハンティング業務に従事。 複数の社内表彰を受賞するなど、建設・不動産業界の採用支援において、豊富な実績を有する。 その後、弊社代表の高木と共に株式会社レガシーを創業。建築・内装施工における施工管理や不動産デベロッパーにおける用地仕入れ営業職など、採用難易度が非常に高いポジションのヘッドハンティングを得意としている。 埼玉県出身。

人材不足が恒常化している建設業界で採用に成功するためには、どんな打ち手を検討すべきでしょうか。建設業界の採用に精通したコンサルタントが、中途採用で採用に成功するためのポイントを、事例を交えて解説します。

1.建設業界を取り巻く採用状況や市場感を把握する

建設業界に対するイメージ

現在、建設業界の高齢化は深刻化しており、若年層の人材確保及び育成が強く求められています。一方で、若年層からの建設業界へのイメージは良いものではなく、「労働時間が長い」「ブラックな環境」「パワハラが横行していそう」というようなネガティブなイメージが大多数を占めています。特に、施工管理職については、近年各種メディアやYoutube等で労働実態を語る経験者も増えており、そもそも、そういった職種を志望する人が減ってきています。若年層の採用を強化するためには、まずはそういったブラックなイメージが広がっていることを把握した上で、打ち手を検討する必要があります。

建設業界の年収水準や福利厚生

建設業界で働きたいと志望する若年層が減少しているため、若手を中長期で育成することが難しくなっています。そのため、未経験者のポテンシャル採用から、即戦力人材の中途採用に切り替える企業が増えている傾向にあります。とりわけ、一定の資格や業務経験を持つ30代から40代に対しては、各社が激しい採用競争を繰り広げており、 結果的に建設業界の年収水準は増加している傾向にあります。同業他社が、①どの程度の年収水準なのか、②どのような福利厚生を用意しているのか、③どの程度働き方改革への対応を行っているのか、それらを把握しなければ、有効な採用戦略を構築することは難しいでしょう。

若年層は働き方への関心が高い

近年、若年層の考え方として、働き方を重要視する傾向が高まっています。近年、新成人となった高卒新社会人(18歳~20歳)向けに理想の働き方について質問したところ、1位が「プライベートや趣味の時間を大切にできる働き方」64.2%、2位が「無理をしない働き方」45%、3位が「自己成長ができる働き方」37.7%、という結果が出ました(株式会社ジンジブの調査より引用)。つまり、自己成長以上に働き方を重視する若者がマジョリティを占めるようになったのです。30代以上の方々は、きつい残業や仕事を乗り越えたからこそ、一人前になれたという側面もあるでしょう。ただ時代が違えば、価値観が違うのも事実です。若年層を採用していくには、彼らの価値観や求めるものを理解した上で、採用戦略を考えていく必要があります。

2.建設業界での中途採用に成功するためのチェックポイント

市場感を踏まえた給与水準を設定できているか

各企業で給与体系が異なることは当然ですが、人材確保をしていくには、市場感を踏まえた給与水準を設定する必要があります。求職者としても、年収が高いことが全てではないですが、働く以上、給与水準は会社を選ぶ上での重要な要素の一つです。特に建設業では、人材確保に苦労する企業は圧倒的に多く、求職者には多くの求人情報を目にすることができます。ちろん、給与水準以外にも、業務内容や働き方、その会社で得られる経験などの多くの差別化できる要素があることも事実ですが、同業他社より著しく低い給与水準となれば、転職するメリットを見出すことは難しいでしょう。市場感を把握するには、業界に精通しているエージェントに相談するが一番最適でしょう。

現実的な求人となっているか

年齢が比較的若く、経験も豊富で資格も持っており、人間的にも素晴らしい方に入社していただければ、企業としては理想でしょう。一方で、現実としては優秀な人材ほど、より良い待遇や福利厚生、社格や知名度、または安定性を求めて、大手企業が第一志望となります。中堅企業や地場の中小企業が人材を確保するために、完璧な人材ばかりを求めていては、大手企業との競争になってしまうことを認識する必要があります。理想を捨てるべきだという主張ではありませんが、現実問題、欲しい人材の要件を検討する必要があります。例えば、「シニア層でも働ける環境づくりをした上で、年齢の幅を広めに募集をしてみる」「Aという業務にBという業務経験が似ているため、Bまで業務経験を広げてみる」など、間口を広げて受け入れる工夫も必要です。

適切な採用手法を利用しているか

採用手法には、いくつか種類があります。

①広告を掲載し、転職希望者からの問い合わせを待つ『求人広告』

②自社の社員から知人を紹介してもらう『リファラル採用』

③企業自らがダイレクトスカウトサイトを利用し、スカウトを送る『ダイレクトリクルーティング』

④人材紹介エージェントに発注し、エージェント経由で転職希望者の紹介をしてもらう『人材紹介エージェント』

⑤ヘッドハンティング会社に発注し、優秀な人材を口説いて自社への入社を促す『ヘッドハンティング』

大きく分けて5種類の採用手法がありますが、ポジションや年齢層、採用の緊急性や重要度などに応じて使い分ける必要があります。

例えば、事務職の方を採用したい場合は、『人材紹介エージェント』や『ヘッドハンティング』といった採用手法は不適切でしょう。費用対効果が合わない上、『求人広告』や『ダイレクトリクルーティング』等の自社内の採用活動で完結できる可能性があるからです。

一方で、30代の1級施工管理技士を採用したいというケースにおいては、どうでしょうか。現状の建設業界の転職市場を考えると、『求人広告』や『ダイレクトリクルーティング』で簡単に採用できるとは思えません。自社での採用に苦労するポジションにおいては、むやみに求人広告に費用をかけるよりも、エージェントに依頼した方が費用対効果が高く、また採用担当者にかかる負荷も軽減できるでしょう。採用したいポジションの難易度や性質を考えて、適切な採用手法にて採用活動を進めることが重要です。

3.建設業界での中途採用に成功した実例

中堅地場ゼネコンA社

関西地方では知名度を誇る地場有力ゼネコンA社は、公共工事・民間工事ともに受注をしており、入札実績・施工実績も豊富であることから、受注は順調でした。その一方で、仕事はあるものの、現場代理人が足りておらず、受注できるはずの工事も断っている状況でした。まさに、人手不足による機会損失です。

大手広告会社への求人を掲載をしても、求めている人材ではなく、年齢や経験が合わない方の応募ばかり。むしろ、人事部が対応する工数が増えて、逆効果となりました。

そこで、少々コストをかけても、良い人材を積極的に採用しにいこうという社長の考えもあり、ヘッドハンティングの利用を検討。建設業資格者のハンティングを得意とする企業に依頼をしました。コストとしては、求人広告よりかかるものの、結果的には数名の施工管理技士の採用に成功しました。

成功のポイントとしては、

・採用したいポジションが、施工管理技士という非常に採用難易度が高いことを認識した上で、採用戦略を構築したこと

・ヘッドハンティング会社への丸投げというわけではなく、コンサルタントと共にターゲット人材を口説くという姿勢があったこと

という点が挙げられます。この事例のように、施工管理技士、現場監督の採用にお困りの企業は、ヘッドハンティングが有効なケースもあります。

総合不動産会社B社

総合不動産業を展開するB社は不動産金融事業への参入を決定していました。数年後には上場を見据え運用資産残高を積み上げるべく、リートに組み入れる物件のパイプラインを早期に構築する必要がありました。そのため、自社でも物件開発を行う事となり、事業推進を担う建築方面に強い一級建築士を求めていました。

上記要件に見合う人材が転職市場だけでは限られており、なおかつ、期間内に必ず採用しなければならないポジションであったため、B社はヘッドハンティングの利用を検討しました。

居住物件をテーマにしたファンドであったため、候補者の条件をゼネコンもしくは設計事務所におけるマンション設計監理経験者に絞りました。不動産金融と接点が少ない業界の為、候補者に事業モデルを理解することに時間がかかるケースもあったが、それらの企業群からデベロッパーへのキャリアアップを目指す人材は一定数おり、かつ大手不動産会社の新規事業に参画できる点にも訴求しプロジェクトを進められました。結果、二か月という短期間で候補者の採用に成功。

最終的には、設計事務所で豊富な賃貸マンションの設計監理経験を積んだ一級建築士の採用に成功しました。数年後の上場に向けて物件開発に尽力しており、新規事業だけでなく、既存のプロジェクトにも参加しており、現在も引き続き大きな戦力として事業拡大に貢献しています。
 

以上のように、建設業界での採用には、求職者目線での情報提供や教育プログラムの充実などが求められます。

4.まとめ

本記事では、建設業界で成功する採用活動についてご紹介してきました。

建設業界の採用活動で成功するには、以下の条件が重要になります。

  • 建設業界を取り巻く採用状況や市場感を把握した上で、適切な条件を提示する
  • 採用したい人材の要件を再定義し、現実的に採用可能な要件にする
  • 採用ポジションに応じた、採用手法をとる
  • エージェントに丸投げせずに、エージェントと協力体制を構築する

また、採用手法は下記いくつかありますが、採用難易度やコストを考慮して、決定することが重要になります。

  • 広告を掲載し、転職希望者からの問い合わせを待つ『求人広告』
  • 自社の社員から知人を紹介してもらう『リファラル採用』
  • 企業自らがダイレクトスカウトサイトを利用し、スカウトを送る『ダイレクトリクルーティング』
  • 人材紹介エージェントに発注し、エージェント経由で転職希望者の紹介をしてもらう『人材紹介エージェント』
  • ヘッドハンティング会社に発注し、優秀な人材を口説いて自社への入社を促す『ヘッドハンティング』

後半では実際に中途採用に成功した実例をご紹介しました。採用難易度が高いポジションは、ヘッドハンティングの活用が有効的なケースも少なくありません。建設業界のヘッドハンティングは、私たちレガシーにご相談ください。


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