施工図・積算・BIMは、海外アウトソースで解決する時代へ

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金田 侑万
執行役員/エグゼクティブコンサルタント
金田 侑万
文教大学卒業後、国内最大級のヘッドハンティング会社に新卒入社。大手不動産デベロッパーや建設会社等のクライアントを担当するヘッドハンターとして、技術職・専門職のヘッドハンティング業務に従事。 複数の社内表彰を受賞するなど、建設・不動産業界の採用支援において、豊富な実績を有する。 その後、弊社代表の高木と共に株式会社レガシーを創業。建築・内装施工における施工管理や不動産デベロッパーにおける用地仕入れ営業職など、採用難易度が非常に高いポジションのヘッドハンティングを得意としている。 埼玉県出身。

目次

施工図の作成、積算、BIMモデリング。これらの技術業務を担う人材が急速に不足しています。国内の協力会社にも頼りづらくなる中、施工図やBIMのアウトソース先として「海外」を選ぶ企業が増えてきました。本記事では、建設業界の人材事情に精通したコンサルタントの視点から、施工図・積算・BIMにおける海外アウトソース事情について解説します。

建設業界で一層広がるアウトソース

かつて施工図の作成は、現場の施工管理担当者が自ら手がけるのが一般的でした。しかし働き方改革や残業規制の流れを受け、施工管理者は品質管理・安全管理・工程管理といった現場のコア業務に専念し、施工図や積算、BIMモデリングは外部に委託して納品物をチェックする―という分業体制が業界の主流になりつつあります。

こうした中、施工図のアウトソースやBIMのアウトソースを積極的に活用する企業が増えています。国土交通省も2023年度から直轄事業でBIM/CIMの原則適用を開始し、BIMのアウトソース需要は制度面からも拡大が見込まれます。

海外アウトソースが増えている背景

技術者の減少と高齢化

国土交通省の資料によると、建設業就業者数はピーク時(1997年)の約685万人から2023年には約483万人へ約30%減少。55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%と全産業平均(16.9%)を5ポイント以上下回ります。施工図を自ら描ける実務能力の高い技術者はシニア層に集中しており、若年層は工科系ではなく文系学部の出身者も多く、図面を書いた経験がないまま現場に配属されるケースも珍しくありません。

問題はこの傾向が今後さらに加速する点です。建設経済研究所の推計では、建設技能労働者は2020年以降5年ごとに約7〜8%のペースで減少し、2030年度・2035年度には需要に対して供給が不足する見通しが示されています。つまり、施工図のアウトソースやBIMのアウトソースの受け皿を「今のうちに」確保しておかなければ、数年後にはさらに選択肢が狭まるリスクがあります。

技術者の減少と高齢化

施工図のアウトソース先だった国内の施工図会社や積算事務所も、同じ構造的課題を抱えています。経営者や主力技術者の高齢化が進み、後継者が見つからずに廃業するケースが増えています。残った会社にも依頼が集中するため、繁忙期には「どこに頼んでも引き受けてもらえない」状況が常態化。外注単価も年々上昇しており、施工図のアウトソースにかかるコストは5年前、10年前と比べて明らかに上がっています。こうした国内の受け皿の縮小が、海外アウトソースへの関心を加速させている大きな要因です。

2024年問題

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が本格適用されました。原則として月45時間・年360時間、特別条項を設けても年720時間が上限です。これまで社員の残業で吸収してきた業務量を、同じやり方では処理できなくなりました。

さらに、国内の建設投資額は近年回復傾向にあり、都市部の再開発やインフラ老朽化対策、災害復旧工事など案件数そのものが増加しています。「人は減るのに仕事は増える」という二重の圧力の中で、施工図やBIMのアウトソースは単なるコスト削減策ではなく、事業を維持するための必須手段になりつつあります。

BIM人材の不足

国土交通省がBIM/CIMの原則適用を推進する一方で、RevitやArchicad、設備系ではTfasやRebroといった3次元ソフトを実務レベルで操作でき、かつ建築・設備の専門知識も併せ持つBIM人材は国内で極めて限られています。BIM導入に踏み切った企業でも、社内にテンプレートやオブジェクトを整備できる担当者を確保できず、結局2D CADに戻ってしまうケースが少なくありません。

国内でBIM人材を新規採用しようにも求人倍率は高く、育成には数年単位の時間がかかります。この「制度は進むが人が追いつかない」ギャップを埋める手段として、すでにBIMスキルを持つ海外エンジニアへのアウトソースが現実的かつ即効性のある選択肢として注目されています。

アウトソース先の代表的な国

ベトナム ― 実績豊富だが、内需シフトが進行中

ベトナムは、日本の建設業界における海外アウトソースの先駆け的な存在です。2010年代以降、多くの日本企業がベトナムの技術者にCAD図面の作成やBIMモデリングを委託してきました。日本語学習者が多く、勤勉な国民性もあり、施工図のアウトソース先として高い評価を得てきた実績があります。

しかし近年、ベトナムの建設市場そのものが大きく変化しています。国内のインフラ投資や不動産開発が急拡大し、ベトナム国内の工事案件が大幅に増加。その結果、優秀な技術者が国内案件に吸収され、日本向けのアウトソース業務に人材を割きにくくなる「内需優先」の傾向が強まっています。人件費も上昇傾向にあり、かつてのようなコストメリットは薄れつつあるのが現状です。

品質と実績のあるベトナムの技術パートナーは依然として存在しますが、「ベトナム一択」で施工図やBIMのアウトソースを考える時代ではなくなりつつあります。

インドネシア ― ベトナムに代わる有力パートナー

ベトナムに代わる施工図・BIMのアウトソース先として、近年急速に注目を集めているのがインドネシアです。

インドネシアの最大の強みは、人材の層の厚さです。人口約2億7,000万人を擁する同国には工科系大学が多数あり、建築・土木・機械工学を専攻した若手エンジニアが毎年大量に輩出されています。Revit、AutoCAD、Archicadといった主要ソフトの操作スキルを持つ技術者も増えており、BIMのアウトソース先としてのポテンシャルは非常に高い国です。

実務面でのメリットも大きく、まず日本との時差がわずか2時間(ジャカルタ基準)という点が挙げられます。施工図のアウトソースではチェックバックや修正指示のやり取りが頻繁に発生するため、リアルタイムでコミュニケーションが取れる時差の小ささは品質管理の面でも大きな強みです。また、日本語学習者数がASEAN諸国の中で上位に位置しており、日本企業との協業に対する親和性も高い水準にあります。

さらに、インドネシアの技術者は20代が中心のため、長期的なパートナーシップを築きやすい点も見逃せません。国内の施工図会社が高齢化で縮小する中、若い技術者と継続的な関係を構築できることは、5年後・10年後を見据えたときに大きなアドバンテージとなります。

ネパール ― 優秀な個の技術者がいるが、体制構築に課題

ネパールにも、建設分野で優秀な技術者は存在します。カトマンズを中心に、土木・建築系の大学を卒業した若手エンジニアが国外に活躍の場を求めるケースは少なくなく、CAD操作や基本的な設計補助に対応できる人材は一定数確保できる環境です。

ただし、ネパールの技術者はインドとの地理的・文化的な結びつきが強く、キャリアパスとしてもインド企業への就職やインド経由での中東就労を志向する傾向があります。そのため日本企業が長期的なパートナーシップを築くには、インドネシアやベトナムと比べて定着率の面でハードルが高くなりがちです。

施工図やBIMのアウトソース先としてネパールを選ぶ場合、個々の技術者の能力は期待できるものの、安定した供給体制を維持するには、採用・育成の仕組みに工夫が必要です。

海外へのアウトソース時に気をつけること

海外へのアウトソースは、コスト面でのメリットは十分にありますが、一方で注意すべき点もいくつかあります。

技術者のレベルを見極める

CADやBIMソフトの操作ができることと、日本の建築基準や施工実務に沿った図面が描けることはまったく別の問題です。施工図のアウトソースでは、線種・レイヤー構成・寸法表記・通り芯の表現など、日本独自の作図ルールを正確に理解しているかが品質を決めます。海外のエンジニアは自国の図面規格で学んでいるため、日本の慣行との差異をどこまで埋められるかが重要です。

BIMのアウトソースにおいても、Revitの操作スキルだけでは不十分です。LOD(詳細度)の概念を理解し、BEP(BIM実行計画書)に基づいたモデリングができるか、ファミリやパラメータの設定を適切に行えるかなど、実務で求められるレベルは多岐にわたります。

こうした見極めに最も有効なのが、本格発注前のテスト制作です。実際の案件図面を使って成果物の品質を確認し、修正指示に対するレスポンスやコミュニケーションの精度も含めて判断することで、施工図のアウトソースやBIMのアウトソースの失敗リスクを大幅に下げられます。

品質管理体制を確認する

海外へのアウトソースで最も懸念されるのが品質管理です。距離が離れている分、認識のズレが生じやすく、意図と異なる成果物が上がってくるリスクがあります。

ここで鍵となるのが、海外の制作チームと発注元の間に立つ「ブリッジ」の存在です。日本の建築業界の慣行を理解し、日本語と現地語の双方でコミュニケーションを取れる窓口がいれば、仕様の読み違いや表記ミスといった問題を初期段階で防ぐことができます。逆に、ブリッジなしで直接やり取りする場合は、チェックバックの工数が膨れ上がり、結果的に国内発注より手間がかかるケースもあります。

また、施工図アウトソースやBIMアウトソースで長期的に品質を高めていくには、継続的な発注を通じて自社の作図ルール・仕様・納まりの知見を蓄積できる仕組みが重要です。初回の品質だけで判断せず、チェックバックと修正のサイクルを重ねることで、協力先のレベルは着実に上がっていきます。

日本語対応が可能かどうか

施工図やBIMの業務では、設計図の読み取りから仕様書の理解、チェックバック時の修正指示まで、あらゆる場面で日本語のやり取りが発生します。建築用語には「納まり」「見切り」「ふかし」など日本語独特の表現が多く、英語を介して伝えると意図がずれやすい難しさがあります。

理想的なのは、現地の技術者がJLPT N2程度以上の日本語力を持っていること、もしくは日本語でのブリッジ対応が可能な体制が整っていることです。特に施工図のアウトソースでは細かな修正指示が頻繁に発生するため、「伝わる日本語力」の有無がプロジェクト全体のスピードと品質に直結します。

まとめ

施工図のアウトソースやBIMのアウトソースを国内だけで完結させることは年々難しくなっています。海外に「もうひとつの技術部門」を持つことは、中長期の技術体制強化につながる戦略的な選択です。

特に国内の施工図・積算専門会社の高齢化と減少が確実視される中、早い段階で海外に制作拠点を確保しておくことは有力な一手となるでしょう。とりわけインドネシアには、技術力の高いエンジニアが多数おり、パートナーとしての将来性は十分です。

株式会社レガシーでは、インドネシアの自社拠点やベトナムの協力会社にて、施工図・BIMモデリング・積算・パースのアウトソースを支援しています。日本語対応可能な若手エンジニアがAutoCAD・Revit・Archicadなどに対応し、日本側窓口が品質チェック・ブリッジまで一貫して担当。1件から月額契約まで柔軟に対応可能です。

まずはテスト制作で品質をお確かめください。

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